
ロンドン
回復する市場と深まる供給制約
ロンドンは本年のグローバル内装コストランキングで第2位に位置しており、高仕様内装コストは1㎡あたり4,264ポンド(1平方フィートあたり430ポンド)となっています。これは、エディンバラおよびグラスゴー(いずれも3,038ポンド/㎡)、バーミンガム(3,037ポンド/㎡)といった他の英国主要都市を大きく上回る水準であり、直近数年で減速していたリーシング活動からの回復を反映しています。 ロンドンのテナント市場では、大規模な内装案件の増加が顕著であり、主要ブランドや国際企業が、自社専用の高品質なオフィス空間を求める動きが強まっています。パンデミック後の開発停滞は概ね解消されたものの、その影響は依然として残っており、2030年代頃までは新規供給の不足が続く見込みです。このような状況下で、多くの企業は、供給回復を待つか、既存オフィスの改修に投資するかという選択に直面しています。
こうした動きはカナリー・ワーフで特に顕著であり、複数の大型高層ビルにおいて全面的な改修やリフィットが進められ、現代的なニーズへの適応が図られています。なかでも金融およびプロフェッショナルサービス分野は、内装投資の主要な担い手であり、人材確保と従業員満足度の維持を目的に、国際水準の共用設備・サービスと高品質なオフィス環境の整備を進めています。また、ロンドンはAI関連のイノベーションやデータセンター、デジタル研究の拠点としての存在感を高めており、テクノロジー企業からの投資も拡大しています。 今後、ロンドンの内装コストはさらに上昇する可能性が高いと見られています。その背景には、大規模かつ高仕様プロジェクトに対応可能なTier1施工会社の供給不足に加え、資材やサプライチェーンを巡る制約が、地政学的な不確実性の影響を受けて一層深まる可能性があることが挙げられます。さらに、サステナビリティやウェルビーイングに関する認証取得の動きも、設計や資材、共用設備・サービスに対する要求水準を引き上げ、コスト上昇要因となっています。 こうした環境のなかで、テナント企業はコスト抑制に向けたさまざまなアプローチを模索しています。プロジェクト管理の高度化や、データに基づく精緻なベンチマーク活用を通じて、より確度の高い意思決定を行う動きが広がっています。